大判例

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広島高等裁判所 昭和26年(う)1036号 判決

正当な権利を有するときは之を実行するため恐喝の手段を用うるとも恐喝罪を構成しないとの所論は正にその通りである。然しながら之は権利者が直接義務者に対する場合でなければならない。本件について見るに被告人が主張している権利なるものは必ずしも明かでないものもあるが仮りに被告人の主張の通りであるとしても被告人が喝取した相手方は昭和二十六年八月二十一日付起訴状記載の分は田坂亀徳昭和二十六年九月五日付起訴状記載の第一は細谷キヨコ、同第二は大谷清一及同人妻トメヨ、同第三は同じく右大谷夫婦であることは各起訴状の記載及此の記載を引用した原判決に照らして明かである。そして之等の記載事体並原審で取調べた証拠を綜合すると被告人は右田坂亀徳、細谷キヨコ、大谷清一及同人妻トメヨのいづれに対しても権利を有することを主張していない。被告人が権利があるものの如く主張している相手方は灰垣裕、大谷敏雄の二人のみである。もつとも灰垣裕は細谷キヨコの内縁の夫であり大谷清一夫婦は大谷敏雄の両親であることは明かであるが権利義務の当事者の立場からいえば法律上は全く第三者である。従つて弁護人の所論は本件には該当しないといわねばならない。

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